交渉

Q退職してからでも会社に損害賠償請求できますか?
Aはい、退職後でも、時効が完成していなければ請求可能です。労災で長期療養を要したために退職を余儀なくされた、職場復帰したものの後遺障害により以前の業務ができなくなったなど、退職と労災事故とに関連がある場合は、退職に伴う逸失利益の主張も検討できます。
Q元請け・下請けが入り組んだ建設現場で労災にあいました。誰に請求すればよいですか?
A建設業や造船業では、判例上、自社の従業員に対してのみならず、実質的な使用関係・指揮監督関係がある下請業者の従業員に対しても、元請業者が安全配慮義務を負担すると判断されています(最判平成3年4月11日等)。具体的な請求相手は、(1)直接の雇用主、(2)元請会社、(3)実際に作業指示を出していた職長・現場監督等、事故の状況によって異なります。複数当事者への請求検討が必要となるため、建設業労災に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
Q自分も悪かった気がするのですが、それでも会社に請求できますか?
Aはい、請求できる可能性があります。被災者にも一定の過失がある場合は過失相殺により減額されますが、会社の安全配慮義務違反が認められる場合には、賠償請求権そのものはなくなりません。また、被災者の過失は会社側が立証する必要があり、当初主張された過失割合が交渉の結果軽減されることも珍しくありません。「自分にも非があった」と感じていても、まずは事実関係を弁護士にお話しいただければ、適切な見通しをお伝えできます。
Q通勤災害の場合、会社に損害賠償請求できますか?
A通勤災害の場合、加害者は通常、会社ではなく第三者(交通事故の相手方等)です。この場合、損害賠償請求の相手方は加害者になります。労災保険からは通勤災害として給付が出る一方、会社には原則として損害賠償責任は生じません。ただし、社用車での通勤・特殊な勤務形態など、会社にも一定の責任が認められる例外的なケースもあります。なお、業務上の交通事故(配達中・営業移動中など)であれば、加害者(交通事故の相手方)と会社(使用者責任)の双方に損害賠償請求できる場合があります。 また、通勤途上の事故で、駅・道路・ビル等の安全管理に問題があった場合は、施設の管理者・所有者(JR、地方自治体、ビルオーナー等)に対して、工作物責任(民法717条)に基づく損害賠償請求ができる場合もあります。階段からの転落、ホームでの転倒、滑りやすい床面での転倒など、施設の通常有すべき安全性を欠いていたことが原因の事故では、この請求が検討対象となります。
Q会社が「安全配慮義務違反はない」と言っています。本当に請求できないのでしょうか?
A会社側は当初、自社の責任を否定するケースがあります。しかし、安全配慮義務違反の有無は、(1)危険な作業環境の有無、(2)安全装置・保護具の整備状況、(3)安全教育・作業手順書の整備状況、(4)監督・指導の実態、(5)労働時間・健康管理の状況などを総合的に検討して判断されます。会社側の主張をそのまま受け入れる必要はなく、まずは弁護士に事実関係をご相談ください。多くの労災事故では、会社側にも何らかの安全配慮義務違反が認められる余地があります。