労災 慰謝料・損害賠償計算

労災保険給付額と会社への損害賠償額(弁護士基準・裁判基準)を試算する無料シミュレーター

どちらの方法で計算しますか?

手元の情報量や、ほしい精度に合わせてお選びください。後から切り替えることもできます。

事故の種類
どのような被害ですか?
ケガの程度

むちうち・打撲・軽い捻挫などは「軽傷」、骨折・脱臼・重度の外傷などは「重傷」をお選びください。

治療期間の目安
後遺障害の有無

治療を続けても完治しない症状(痛み・しびれ・可動域制限・機能喪失など)が残っているか、または残りそうな状況かをお選びください。

およその金額で結構です。賞与込みの額面年収を万円単位でご入力ください(例:400万円なら「400」)。

万円

概算モードでは、入力情報が少ないため、結果は金額の幅(レンジ)で表示します。より具体的な金額を知りたい場合は、結果画面から「詳しく計算」モードに切り替えできます。

本計算機の結果はあくまで一般的な算定基準に基づく目安であり、実際の請求可能額を保証するものではありません。被災者ご本人にも過失がある場合は、過失割合分が減額されます。

事故の種類をお選びください
どのような被害ですか?
ケガの程度

むちうち・打撲・軽い捻挫などは「軽傷」、骨折・脱臼・重度の外傷などは「重傷」をお選びください。複数の症状がある場合は、より重い側(骨折等)を基準にお選びください。

亡くなられた方について

大切なご家族を亡くされたばかりの場面でのご入力、誠におつらいことと存じます。お手数ですが、計算のためいくつかご回答ください。

亡くなられた方の家庭での立場

最も近いものをお選びください。

亡くなられた方の収入で生活していたご家族の人数

亡くなられた方ご本人は含めず、生計を維持していた配偶者・お子様・ご両親などの人数をお選びください。

亡くなられた方の性別 必須

遺族年金の支給期間および死亡逸失利益の計算に使用します。

遺族年金に関する詳細(任意・分かる場合のみ)
遺族年金の受給資格がある方の人数

配偶者・お子様・ご両親・祖父母・ご兄弟のうち、生計維持関係にあった方の人数。分からない場合は上記「生活していた家族の人数」と同じでも概算は出せます。

遺族の中に55歳以上の妻、または一定の障害状態の妻はいますか?

遺族年金の支給日数の加算(153日→175日)に影響します。遺族が1人の場合のみ反映されます。

入通院の状況を入力してください
1
病院に入院していた日数の合計(外来通院は含めません)。入院していなければ空欄のままで結構です。
2
入院期間も含めた、事故日から治療終了日(または症状固定日)までの全期間を日数でご入力ください。例:事故日から治療終了日まで6ヶ月であれば「180」。
3
病院・整骨院などに実際に行った日数。入院日数は含めないでください。

※入通院期間はそれぞれ最大15ヶ月を上限として算出します。

後遺障害の状況
収入・休業期間

休業給付や年金給付の計算には、事故前の収入額が必要です。お分かりになる範囲でご入力ください。

事故により仕事を休みましたか?
事故前の収入

該当するものをお選びください。自営業・事業主の方は労災に特別加入している場合のみ給付対象です。なお、特別加入者の給付基礎日額は加入時に申告した日額(最低3,500円〜最高25,000円)で決まるため、本計算機の試算額(年収から簡易算出)と実際の給付額が大きく異なる場合があります。

月給×12ヶ月+賞与の合計(額面)を万円単位でご入力ください。例:400万円なら「400」。

上記「年収」に含まれている賞与額(年収から差し引かれません)。分からなければ空欄で結構です。

事故により実際に仕事を休んだ日数。

ご本人の属性(逸失利益の計算に使います)

就労可能年数の計算に使用します。

平均余命(令和6年簡易生命表)の参照に使用します。後遺障害ありの場合は必須です。

賞与額がわからない場合は空欄で結構です(賞与に基づく特別年金・特別一時金の試算が省略されます)。

自営業・事業主の方は、ご自身で労災に加入(特別加入)していた場合のみ給付対象です。加入時に申告した日額に基づき計算されますが、本計算機では年収から簡易算出します。

入力内容を確認してください

「計算する」を押すと、労災保険給付額と会社への損害賠償額(弁護士基準・裁判基準)を試算します。

注意事項(必ずお読みください)

1. この計算機の位置づけ
本計算機は、労災給付額および会社への損害賠償額を簡易迅速に算定することを目的とした参考ツールであり、正確性は保証しておりません。算出結果はあくまで一般的な算定基準に基づく目安です。

2. 労災給付と会社への損害賠償の関係
労災保険給付は、被災労働者および遺族に対する公的な災害補償であり、慰謝料は含まれません。会社に安全配慮義務違反や不法行為があった場合、労災給付とは別に、慰謝料・労災で塡補されない休業損害・逸失利益などを会社に対して請求できます(損害賠償請求)。労災給付と損害賠償は同一性質の損害(逸失利益・休業損害・治療費の自己負担分・葬祭費用など)について重複塡補とならないよう損益相殺の対象となりますが、慰謝料は労災給付では塡補されないため、慰謝料部分は損益相殺の対象外です。また、特別支給金は社会復帰促進等事業として支給されるものであり、損益相殺の対象とならないとするのが判例です(最判平成8年2月23日)。

3. 労災年金の「将来分」は損益相殺の対象外(重要)
障害(補償)年金・遺族(補償)年金は、判例上、すでに支給を受けた分(既受領分)および前払一時金として支給確定した分のみが損益相殺の対象となり、将来支給される分(支給未確定分)は損益相殺の対象になりません(最判昭和52年10月25日等)。本計算機では、労災から最終的に受け取れる金額の目安として、平均余命まで年金を受給する前提で現在価値合計を表示していますが、これは「会社への損害賠償から差し引かれる金額」を示すものではありません。実際の損害賠償交渉では、すでに支給を受けた年金額および前払一時金の額のみが控除されることが多くなります。

4. 過失相殺について(重要)
被災者ご本人にも事故発生について過失がある場合(高所作業中の安全帯不使用、機械の安全装置の無効化、危険な作業手順を自主的に選択していた、など)、その過失割合分が会社への損害賠償額から減額されます(過失相殺・民法722条2項)。例えば、損害額1,000万円・被災者の過失2割の場合、会社に請求できる金額は800万円となります。本計算機では過失相殺を反映していませんので、ご自身に過失があると思われる場合は、計算結果から相応の金額を差し引いてご検討ください。なお、労災保険給付については過失相殺による減額は行われません(被災者の重大な過失がある場合の支給制限を除く)。

5. 弁護士基準と実際の交渉について
弁護士基準(裁判基準)は、裁判まで進めた場合に裁判所が認めうる水準の金額です。会社や会社の損害保険会社との示談交渉の場面では、これより低い水準で和解することもあり、必ずしも本計算結果と同額が支払われるわけではありません。

6. 損害のすべてを算出していない可能性があります
本計算機が対象としているのは、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料・休業損害・逸失利益と、主要な労災給付のみです。実際の労災事故では、次のような損害も別途請求できる場合があります。

  • 治療費の自己負担分(原則として労災で全額塡補されますが、転院費用等で自己負担が生じる場合があります)
  • 通院交通費、付添看護費
  • 装具・器具の購入費(義足・車椅子・コルセット等)
  • 葬儀費用(損害賠償としての葬儀費用は赤い本基準で原則150万円が目安。労災の葬祭料とは別概念であり、葬祭料は損害賠償の葬儀費用との関係で損益相殺の対象になります)、近親者固有の慰謝料(民法711条)
  • 将来介護費、家屋改造費 など

7. 例外的な事案・個別事情は考慮していません
過失相殺、既往症、素因減額、複数等級の併合、年金収入、休業形態の特殊性、増額・減額事由などの個別事情を反映していません。実際の請求可能額は、これらにより増減します。

8. 主な前提(自動計算機の前提事項)

  • 慰謝料は赤い本(裁判基準)に準拠して算出。入通院慰謝料は、入通院期間がそれぞれ最大15ヶ月を上限(赤い本別表I・別表IIに準拠)。長期低頻度通院は実通院日数×3倍(軽傷)/×3.5倍(重傷)を月数の上限として調整します
  • 給付基礎日額は、入力された年収から賞与を除いた金額を365日で除して算出します(原則は事故前3ヶ月の賃金÷暦日数ですが、本計算機では年収から簡易算出)。実際の労災請求では事故前3ヶ月の賃金額により計算されるため、本計算結果と異なる場合があります。なお、年金給付および療養開始後1年6ヶ月経過後の休業給付については、給付基礎日額に年齢階層別の最低・最高限度額が設定されており、高所得者・低所得者の場合、本計算結果と実支給額が異なる場合があります。年齢階層別の最高限度額は世代によって異なり(20代〜60代以上の各階層で別々に定められています)、年収約900万円以下であっても若年層・高齢層ではこの上限が発動するケースがありますので、本計算機ではあくまで概算として表示しています
  • 算定基礎日額は、入力された賞与年額を365日で除して算出します。算定基礎年額には150万円の上限があり、給付基礎年額の20%を超える賞与は反映されません
  • 休業(補償)給付は給付基礎日額×60%×(休業日数-3日)、休業特別支給金は給付基礎日額×20%×(休業日数-3日)で算出します。業務災害の最初の3日間は会社が労働基準法上の休業補償(平均賃金×60%)を行います(本計算機ではこの会社負担分は労災給付の合計には含めず、参考として表示しています)。なお、通勤災害の場合、療養給付の一部負担金200円(健康保険の日雇特例被保険者は100円)が初回の休業給付から控除されます
  • 障害(補償)給付は等級1〜7級は年金(給付基礎日額の313日〜131日分の年額)、8〜14級は一時金(給付基礎日額の503日〜56日分)。年金は被災者の平均余命(令和6年簡易生命表)を期間として、ライプニッツ係数(法定利率3%)による現在価値合計を表示します。なお、計算内訳に表示される「初年度年額」は参考表示であり、その下に表示される「現在価値合計」の中に既に含まれています(二重計上ではありません)
  • 障害特別支給金は等級別の定額一時金(1級342万円〜14級8万円)。障害特別年金/一時金は算定基礎日額×等級別日数で算出します
  • 遺族(補償)年金は給付基礎日額×遺族数別日数(1人153日/2人201日/3人223日/4人以上245日。1人かつ55歳以上の妻等は175日)。本計算機では遺族の年齢を入力いただいていないため、便宜上「亡くなられた方の平均余命」を期間としてライプニッツ係数による現在価値合計を表示します。実際には受給権者(代表者)の余命に応じて支給期間が決まり、若年停止・再婚による失権・転給など個別事情には対応していません
  • 遺族特別支給金は遺族数にかかわらず一律300万円。遺族特別年金は算定基礎日額×同日数で算出
  • 葬祭料(葬祭給付)はmax(31.5万円+給付基礎日額×30日, 給付基礎日額×60日)で算出
  • 休業損害(損害賠償)は年収÷365×休業日数で全額算出。労災給付分は損益相殺の対象となるため、別途控除を行ってください
  • 後遺障害逸失利益・死亡逸失利益は弁護士基準(裁判基準)(基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数)で算出。法定利率3%、労働能力喪失期間はmax(67-年齢, 平均余命の1/2(端数切り上げ))、後遺障害14級は神経症状型(9号)を念頭に5年、神経症状型12級は10年として算出します。器質的損傷型12級は原則どおり就労可能年数まで認めます。なお、14級でも症状の内容によっては5年に限定されない場合があります
  • 特別加入者(自営業・事業主)については、休業特別支給金・障害特別支給金・遺族特別支給金は支給されますが、特別給与(賞与)を基礎とする特別年金・特別一時金は支給されません(本計算機は職業欄で「自営業・事業主」を選択した場合、これらを計算から除外し、賞与欄を非表示にします)
  • 過失相殺、損益相殺の具体額計算、複数等級の併合には対応していません

9. 免責
本計算機を利用されたことにより生じた不利益な結果や損害などについては、一切責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。正確な賠償額・労災給付額については、必ず労災事故に精通した弁護士または社会保険労務士にご相談ください。

※計算するには、上のチェックボックスで注意事項への同意が必要です

会社への損害賠償額(弁護士基準・裁判基準) ※裁判で認められうる水準
¥0
※過失相殺について:ご本人にも過失がある場合、その割合分が減額されます(例:過失2割なら8割が請求可能)。詳しくはこちら
参考:労災保険から受給できる見込み額
¥0
※この金額をそのまま上の損害賠償額に足すことはできません。同じ性質の損害(休業損害・逸失利益・治療費の自己負担分等)については重複が調整されます(損益相殺)。
※一方、ここに表示している労災年金の将来分はそのまま控除されるわけでもありません。判例上、損害賠償から控除されるのは、原則として既に支給を受けた分と前払一時金として支給確定した分に限られます。労災と損害賠償の関係年金の将来分の取扱い
計算内訳を表示
項目金額備考

労災事故で弁護士に依頼するメリット

労災保険給付の請求とは別に、会社に対して慰謝料・労災で塡補されない損害を請求するには、安全配慮義務違反や不法行為の立証が必要です。弁護士が代理人として対応することで、必要な証拠の収集、適切な等級認定の獲得、会社・損害保険会社との示談交渉、訴訟対応までをトータルでサポートできます。特に過失割合や安全配慮義務違反の有無が争いになる事案では、弁護士の関与によって認定される過失や賠償額が大きく変わることがあります。

当事務所では労災被害者の方からのご相談を初回無料で承っております。お電話・メール・LINEのいずれの方法でもお気軽にご連絡ください。

※スマートフォンで印刷ボタンが動かない場合は、ブラウザのメニューから「印刷」または「ページをPDFとして保存」を選択してください。

上の計算機で算出された「会社への損害賠償額」は、裁判になった場合に裁判所が認めうる水準(弁護士基準・裁判基準)の損害額です。労災保険給付には慰謝料が含まれていないため、慰謝料や労災で塡補されない損害は、会社に対して別途、損害賠償請求をする必要があります。よくいただくご質問にお答えしながら、計算結果の意味と労災事故の進め方を、弁護士法人静岡城南法律事務所の弁護士が解説します。

計算結果でよくある疑問

Q1.計算機の「会社への損害賠償額」は、必ず受け取れますか?
A1.本計算機は厳密な計算をしているわけではありませんので、必ず受け取れるとは限りません。会社が損害賠償責任を負うのは、会社に安全配慮義務違反や不法行為があった場合に限られます。また、被災者にも過失がある場合は大きく受け取れる金額が変わってきます。会社側は当初、自社の責任を否定する、あるいは責任を限定的に解釈して低額の賠償案を提示してくることが多いのが実情です。被災者側でも、事故の状況や安全管理体制の実態に関する証拠を集めて、会社に責任があることを立証する必要があります。
Q2.「労災保険からの給付」と「会社への損害賠償」は両方受け取れますか?
A2.原則として両方受け取れます。ただし、同じ性質の損害(休業損害・逸失利益・治療費の自己負担分・葬祭費用など)については、二重取りとならないよう調整されます(損益相殺)。一方、慰謝料は労災保険からは支給されないため、会社への請求から差し引かれることはありません。また、休業特別支給金・障害特別支給金などの特別支給金は、社会復帰促進等事業として支給されるものであり、損益相殺の対象外です(最判平成8年2月23日)。
Q3.計算機の労災給付見込み額には、将来の年金分も含まれていますか?
A3.はい、含まれています。後遺障害1〜7級の障害(補償)年金については、被災者本人の平均余命まで受給する前提で、ライプニッツ係数による現在価値合計を表示しています。遺族(補償)年金については、本来は受給権者(遺族の代表者)の余命に応じて支給期間が決まるところ、本計算機では遺族の年齢を入力いただいていないため、便宜上「亡くなられた方の平均余命」を期間として現在価値合計を試算しています(若年停止・再婚による失権・転給などの個別事情には対応していません)。なお、これらの将来の年金分は会社への損害賠償から差し引かれません(最判昭和52年10月25日等)ので、計算機の数字をそのまま「会社への損害賠償から控除される額」と理解することはできません。
Q4.計算機に含まれていない損害は何ですか?
A4.本計算機が算出するのは入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料・休業損害・逸失利益と、主要な労災給付です。実際の労災事故では、これらに加えて、治療費の自己負担分・通院交通費・付添看護費・装具購入費・葬儀費用・近親者固有の慰謝料(民法711条)・将来介護費・家屋改造費などを別途請求できる場合があります。
Q5.会社が「労災を使うな」「自分の健康保険で治療しろ」と言ってきました。どうすればよいですか?
A5.会社の同意なく労災申請できます。労災保険給付の請求は被災労働者(または遺族)固有の権利であり、業務中・通勤中のケガは健康保険ではなく労災保険を使うのが原則です。会社が労災申請に協力しない、いわゆる「労災隠し」は労働安全衛生法違反であり、刑事罰の対象となります。会社が事業主証明を拒否しても、その旨を労働基準監督署に伝えれば申請は可能です。

執筆:弁護士 山形祐生(静岡県弁護士会所属・登録番号44537/静岡県交通事故相談所 顧問弁護士〈静岡県知事の委嘱による〉/日本交通法学会所属)/最終更新:2026年5月10日

計算結果の見方|労災保険給付と会社への損害賠償の関係

労災事故が発生した場合、被災労働者(または遺族)は、労災保険給付会社への損害賠償請求という、性格の異なる2つの金銭請求が可能です。両者は別の制度ですが、重複部分については損益相殺により調整されます。違いを整理すると次のとおりです。

労災保険給付と会社への損害賠償の比較
項目労災保険給付会社への損害賠償
性格公的な災害補償制度民事上の損害賠償
請求先労働基準監督署使用者(会社)
会社の責任の要否不要(無過失補償)必要(安全配慮義務違反等)
慰謝料含まれない請求できる
休業損害の塡補給付基礎日額の60%(+特別支給金20%)全額(労災給付分は損益相殺)
逸失利益等級別の年金・一時金赤い本基準で全額
過失相殺原則行わない
(重大な過失による減額を除く)
行われる

労災保険給付には慰謝料が含まれない

労災保険は、被災労働者と遺族の生活保障を目的とした公的な災害補償制度です。会社の過失の有無に関係なく、業務上または通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡について給付が行われます(無過失補償)。

もっとも、労災保険給付の項目は法律で定められた療養給付・休業給付・障害給付・遺族給付・葬祭料などに限られ、慰謝料は含まれていません。また、休業給付は給付基礎日額の60%(+特別支給金20%、合計80%)にとどまり、休業損害の20%相当(あるいは年収を365日で除した残額)は労災では塡補されません。逸失利益も、労災の障害給付・遺族給付は支給日数や生活費控除を経た金額であり、赤い本基準で算定した逸失利益の全額が支給されるわけではありません。

慰謝料・労災で塡補されない損害は会社に請求できる

会社には、労働者の生命・身体の安全を確保しながら労働できるよう必要な配慮をする義務(安全配慮義務、労働契約法5条)があります。この義務に違反して労働者に損害を与えた場合、債務不履行(民法415条)として損害賠償責任を負います。また、不法行為(民法709条)が成立する場合もあり、両者を併せて主張することが一般的です。

会社に安全配慮義務違反等が認められる場合、被災労働者は会社に対して慰謝料、休業損害(労災で塡補されない部分)、逸失利益(同)、治療費の自己負担分、通院交通費、付添看護費、装具・器具購入費、葬儀費用、近親者固有の慰謝料、将来介護費、家屋改造費などを請求できます。

同じ性質の損害は重複塡補とならないよう調整される(損益相殺)

労災保険給付と会社への損害賠償が重なる場合、被災労働者の損害を超えて二重に塡補することはできません。具体的には、休業損害・逸失利益・治療費の自己負担分・葬祭費用など同一性質の損害については、既に支給を受けた労災給付の額が会社への損害賠償から控除されます(損益相殺)。

もっとも、次の2点には注意が必要です。

  • 慰謝料は労災保険給付では塡補されないため、損益相殺の対象になりません(慰謝料は満額請求できます)
  • 休業特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金などの特別支給金は、社会復帰促進等事業として支給されるものであり、損益相殺の対象になりません(最判平成8年2月23日)

労災年金の「将来分」は損害賠償から差し引かれない|重要

後遺障害1〜7級の場合、被災労働者には障害(補償)年金が支給されます。死亡事故の場合、遺族には遺族(補償)年金が支給されます。これらの年金は、被災者本人の生存中(障害年金)または受給権者の生存中(遺族年金)、毎年継続的に支給されます。

会社への損害賠償との関係で問題になるのは、「年金として将来支払われる分(=支給未確定の部分)」が、会社への損害賠償額から差し引かれるかどうかという点です。判例は、労災年金の将来分は損益相殺の対象にならないと判断しています(最判昭和52年10月25日等)。会社への損害賠償から差し引かれるのは、原則として、すでに支給を受けた分と、前払一時金として支給確定した分に限られます。

本計算機では「労災から最終的にいくら受け取れるか」の目安として、年金分も平均余命まで受給する前提でライプニッツ係数による現在価値合計を表示しています。ただしこの金額は、「会社への損害賠償から差し引かれる金額」ではありません。たとえば後遺障害5級・年収500万円の場合、計算機の労災給付見込み額が約2,500万円(年金の現在価値含む)、会社への損害賠償が約4,000万円と表示されたとしても、損害賠償から控除されるのは原則として「これまでに支給を受けた年金額」と「前払一時金分」のみであり、控除後の請求可能額が約1,500万円(=4,000万-2,500万)になるわけではありません。

後遺障害が重い事案ほど、この点を踏まえた請求戦略が金額に大きく影響します。後遺障害1〜7級の認定を受けた方や、ご家族が労災で亡くなられた方は、前払一時金を選択するか、年金として受給するかという選択肢も含め、早期に弁護士へご相談されることをお勧めします。

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労災事故で過失相殺されるのはどんなとき?

会社への損害賠償請求では、被災労働者ご本人にも事故発生について落ち度(過失)がある場合、その過失割合分が損害賠償額から減額されます(過失相殺、民法722条2項)。たとえば損害額1,000万円・被災者の過失2割の場合、会社に請求できる金額は800万円になります。

労災事故で被災者の過失が問題になる典型例は、次のとおりです。

  • 高所作業中に安全帯(墜落制止用器具)を使用しなかった
  • 機械の安全装置を無効化して作業した、覆い・囲い等を外して作業した
  • 会社が定めた作業手順や安全教育の内容に反する方法で作業した
  • 飲酒・体調不良の状態で危険作業に従事した
  • 立入禁止区域に入って作業した、合図確認を怠った
  • 運送業務中の事故で道路交通法違反があった

ただし、「被災者にも過失があった」という会社側の主張は、必ずしもそのまま認められるわけではありません。労働者の安全を確保するのは第一次的には使用者の責任であり、(1)会社が安全装置・保護具を用意していたか、(2)安全教育を実施していたか、(3)違反作業が常態化していなかったか、(4)上司・現場監督が黙認していなかったか、といった事情によっては、被災者の過失割合が軽減されたり、ゼロと判断されたりすることもあります。

なお、労災保険給付については、過失相殺による減額は原則として行われません(被災者に故意・故意の犯罪行為または重大な過失があった場合の支給制限を除く)。労災給付は「過失があっても」基本的には全額支給され、過失相殺は会社への損害賠償の場面でのみ問題となる点が、交通事故と異なる労災特有のポイントです。

弁護士基準と示談金の違い・実際の交渉の進め方

本計算機の「会社への損害賠償額」は、赤い本(裁判基準・弁護士基準)に準拠して算定した金額です。これは、裁判まで進めた場合に裁判所が認めうる水準の金額を意味します。

労災事故で会社に対して損害賠償請求をした場合、会社側の対応はおおむね次のような流れになることが多いです。

  1. 当初は、安全配慮義務違反の責任そのものを否定してくる(「労働者の不注意が原因」「会社は安全管理を尽くしていた」等)
  2. 責任を認めざるを得ない事案でも、会社側が独自に算定した金額(赤い本基準より低額のことが多い)を提示してくる
  3. 賠償義務を認めても、被災者の過失を大きく主張して減額を試みる
  4. 労災保険給付分について、本来は損益相殺の対象外の特別支給金分も控除しようとすることがある
  5. 使用者責任を負う会社が複数(元請け・下請け等)ある事案で、「自分の会社は責任がない」と主張することがある

こうした会社側の主張に対しては、(1)安全配慮義務違反の具体的内容と立証、(2)後遺障害等級の適切な認定、(3)損益相殺の正確な範囲、(4)過失割合の主張・立証、(5)複数当事者の責任関係の整理、といった専門的対応が必要になります。弁護士が代理人として交渉に入ることで、赤い本基準に近い水準での解決を目指すことができます

会社側との交渉で合意に至らない場合は、労働審判(原則3回以内の期日で迅速に解決を図る手続)や、損害賠償請求訴訟に移行することになります。労働審判は訴訟より迅速ですが、後遺障害の有無・等級が大きな争点になっているような事案では、最初から訴訟を選択することもあります。

労災事故の典型ケース|計算機での金額イメージ

労災事故で会社にいくら請求できるかは、ケガの程度・後遺障害の等級・年収・年齢などにより大きく異なります。ここでは、当計算機を使った3つの典型的なケースをご紹介します。同じ条件をご自身で入力していただければ、計算結果を再現してご確認いただけます(数値は計算機の出力に合わせた目安額であり、過失相殺・損益相殺等は反映していません)。

ケース1:建設現場の墜落事故・骨折(40歳・年収500万円・後遺障害12級)

建設現場で足場から墜落して下肢を骨折した方のケース。入院30日・通院期間9ヶ月(うち実通院日数約60日)で症状固定となり、後遺障害12級7号(下肢の機能障害・器質的損傷)が認定されたという前提です。休業150日。静岡市内の建設現場でも同種の事故は少なくなく、当事務所でも建設業労災のご相談を多く承っています。

ケース1:建設現場の墜落事故・骨折(40歳・年収500万円・後遺障害12級)の試算
項目金額(目安)
入通院慰謝料(別表I)約157万円
後遺障害慰謝料(12級)290万円
休業損害(休業150日)約205万円
後遺障害逸失利益(喪失率14%・27年)約1,283万円
会社への損害賠償額(合計)約1,935万円
労災から受給見込み(参考)約395万円

このケースでは、会社への損害賠償請求のうち慰謝料(約447万円)はそのまま全額請求可能です。休業損害・逸失利益のうち労災給付分は損益相殺されますが、特別支給金分(休業給付の20%上乗せ・障害特別支給金20万円)は損益相殺の対象外で、被災者の手元に残ります。器質的損傷型の12級は、神経症状型と異なり労働能力喪失期間が短縮されないため、若年〜中年の被災者ほど逸失利益が高額になります。

ケース2:工場でのプレス機事故・指の切断(30歳・年収400万円・後遺障害9級)

工場でプレス機を操作中、安全装置が無効化された状態で作業させられて指を切断したという仮想ケース。入院7日・通院期間6ヶ月(うち実通院日数約50日)で症状固定となり、後遺障害9級12号(1手の母指又は母指以外の2の手指を失ったもの)が認定されたという前提です。休業90日。

ケース2:工場での機械事故・指切断(30歳・年収400万円・後遺障害9級)の試算
項目金額(目安)
入通院慰謝料(別表I)約121万円
後遺障害慰謝料(9級)690万円
休業損害(休業90日)約99万円
後遺障害逸失利益(喪失率35%・37年)約3,103万円
会社への損害賠償額(合計)約4,013万円
労災から受給見込み(参考)約555万円

後遺障害9級は労働能力喪失率35%に対応し、若年者の場合は就労可能年数(67歳まで)が長く、逸失利益が高額になる傾向があります。プレス機・成形機の安全装置が外されていた、危険な作業を口頭で指示していたといった事案では、会社の安全配慮義務違反が比較的明確であり、被災者側の過失も限定的に判断されやすい類型です。労災事故に詳しい弁護士のサポートで、適切な等級認定と賠償額の獲得が期待できます。

ケース3:倉庫業務中の転倒・むちうち(25歳・年収350万円・後遺障害14級9号)

物流倉庫で台車作業中に転倒し、頸部を負傷した方のケース。通院期間6ヶ月(うち実通院日数約50日)で症状固定となり、後遺障害14級9号(局部に神経症状を残すもの)が認定されたという前提です。入院なし、休業30日。

ケース3:倉庫業務中の転倒・むちうち(25歳・年収350万円・後遺障害14級9号)の試算
項目金額(目安)
入通院慰謝料(別表II)約79万円
後遺障害慰謝料(14級)110万円
休業損害(休業30日)約29万円
後遺障害逸失利益(喪失率5%・5年)約80万円
会社への損害賠償額(合計)約298万円
労災から受給見込み(参考)約82万円

むちうち等の14級9号(神経症状型)は、労働能力喪失期間を5年に限定するのが一般的な実務であり、逸失利益は限定的になります。それでも会社への損害賠償の合計は約300万円となり、労災給付(約82万円)とは別に、慰謝料を中心とした請求が可能です。なお、症状の内容や立証の程度によっては、5年に限定されない場合もあります。

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計算機に含まれていない損害も別途請求できます

当計算機が対象としているのは、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料・休業損害・逸失利益と、主要な労災保険給付です。実際の労災事故では、これら以外にも次のような損害を会社に請求できる場合があります。

傷害事故の場合

  • 治療費の自己負担分(原則として労災で全額塡補されますが、転院費用・先進医療等で自己負担が生じる場合があります)
  • 通院交通費(公共交通機関の運賃・自家用車の場合はガソリン代・駐車場代)
  • 付添看護費(入院中・通院時の家族の付き添いが必要だった場合)
  • 装具・器具の購入費(コルセット・サポーター・松葉杖等)

後遺障害が残った場合

  • 義足・車椅子等の装具・器具の将来費用(更新費用)
  • 将来介護費(重度の後遺障害により介護が必要となった場合。日額・将来期間×ライプニッツで算定)
  • 家屋改造費(バリアフリー化工事等)
  • 近親者固有の慰謝料(民法711条。重度後遺障害で死亡にも比肩する精神的苦痛がある場合等に認められます)

死亡事故の場合

  • 葬儀費用(損害賠償としての葬儀費用は赤い本基準で原則150万円が目安。労災の葬祭料とは別概念ですが、損害賠償の葬儀費用との関係で葬祭料は損益相殺の対象になります)
  • 近親者固有の慰謝料(民法711条。配偶者・子・父母など)

これらの損害は、慰謝料・休業損害・逸失利益とは別に請求できますが、会社側が自発的に十分な金額を提示することは少なく、領収書・診断書・改造工事の見積書等の証拠を整えて適切に請求していく必要があります。

労災事故の損害賠償請求にも時効があります

会社への損害賠償請求権、および労災保険給付の請求権には、いずれも時効があります。事故から長い時間が経過してしまうと、請求が認められなくなるおそれがありますので注意が必要です。

労災事故の損害賠償請求・労災給付の時効期間と起算点
請求の種類時効期間起算点
会社への損害賠償(人身損害)5年損害および加害者を知った時(主観的起算点)
※不法行為から20年(客観的起算点)
療養(補償)給付2年療養に要する費用を支出した日の翌日
休業(補償)給付2年賃金を受けない日の翌日
葬祭料(葬祭給付)2年労働者が死亡した日の翌日
障害(補償)給付5年傷病が治癒した日(症状固定日)の翌日
遺族(補償)給付5年労働者が死亡した日の翌日

2020年4月1日の民法改正により、人身損害(生命・身体に関する損害)の時効は5年に延長されました(民法724条の2)。会社との交渉が長引いている間にも時効は進行しますので、特に注意が必要です。時効が間近に迫っている場合には、催告(民法150条)・協議を行う旨の合意(民法151条)・裁判上の請求などの手段で時効の完成を止めることができます。お早めに弁護士までご相談ください。

このような方は今すぐ無料相談を

当計算機をお使いいただいた方の中で、以下のような状況にある方は、弁護士へのご相談をおすすめします。

  • 会社が労災申請に協力してくれない、「労災を使うな」と言われている方
  • 会社から提示された解決金が、当計算機の損害賠償額より大幅に低い方
  • 後遺障害等級の認定を受けたが、等級が実際の症状より軽いと感じている方
  • 後遺障害の認定について、非該当の決定を受けて不服がある方
  • 会社が安全配慮義務違反を否定している、「労働者の不注意が原因」と主張している方
  • 長時間労働・パワハラ等が原因で精神疾患・脳心臓疾患になられた方
  • 事故から時間が経ってしまい、時効が心配な方
  • ご家族を労災事故で亡くされ、今後どうすればよいかお困りの方

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無料相談の方法

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予約ページ、LINEからご予約いただいた場合には、日程調整のご連絡をさせていただきます。

よくある質問

Q相談可能な曜日、時間を教えてください。
A

事務所での面談、電話、Zoomの場合は、平日の10時~17時半です。お昼の時間帯も可能です。相談時間は30分~1時間程度です。
LINE、問い合わせフォーム(メール)でのご相談は24時間受付です。ただし、お返事には御時間をいただきますのでご了承ください。

Q日中は仕事で忙しいので、弁護士事務所に行ったり電話をしたりすることが難しいので、メールやLINEで相談や打ち合わせをすることはできますか?
A

メールやLINEでの相談も可能ですし、ご依頼後の弁護士との連絡手段をメールやLINEにすることが可能です。
なお、裁判をせずに示談交渉で解決する場合、ほとんどのケースで、依頼後に事務所での打ち合わせをすることなく終了しています。

Q家族が労災事故に遭ったのですが、他の家族が代わりに相談することはできますか?
A

はい。ご家族の方が代わりにご相談していただくことは可能です。お子様を連れて事務所にお越しいただいても構いません。

Q弁護士費用で費用倒れ(赤字)になることはありませんか?
A

ご相談内容を詳しく伺ったうえで、もし、少しでも費用倒れの可能性がある場合には、必ずご依頼前にご説明させていただきます。万が一、増額した金額よりも弁護士費用が高額となる場合は、増額した金額が弁護士費用の上限となりますので、損をすることはありません。
 なお、弁護士費用特約をご利用の場合は、費用倒れになることはありません。

Qどの段階から費用が発生しますか?
A

相談では一切費用は発生しません。弁護士との間で委任契約書を作成して、正式にご依頼いただいて、弁護士が交渉等の活動を開始した段階から費用が発生致します。

Q裁判まではしたくないのですが、交渉で示談することは可能ですか?
A

裁判まで行うか、交渉で示談をして終わらせるかは、依頼者の方が決めることになりますので、交渉での解説を希望される場合には、裁判にはなりません。

Q弁護士に相談したら必ず依頼しなければいけないのでしょうか?
A

もちろん、相談だけで依頼しなくても問題ありません。むしろ、複数の弁護士に会って相談したうえで、最も信頼できる弁護士に依頼することをお勧めします。